世界中どこの国でも、自動車やバイクを運転するにあたって運転免許証を取得することは必須だ。それもそのはず。それらのエンジンは人間の身体をいとも簡単に破壊してしまうくらい強力で、コントロールするための技能と特別な責任が求められるわけだ。
そのため、運転免許を取得せずに公道で運転することには重大な危険が伴うことは言うまでもない。無免許運転は厳しく取り締まられるべき違反の1つだ。しかし世界は広い。実際のところ日本と他の国の一部地域では無免許運転に関する考え方がかなり大きく異なる。
日本の場合だと、無免許運転を無免許運転をした人は3年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金に処されることになっているとのことだ。2013年までは罰金の額が30万円だったのが、大幅に引き上げられている。無免許運転がいかに危険な行為として扱われているかがよく分かる。
一方でボリビアはどうかというと、無免許運転に対する罰金はたったの100Bs(ボリビアーノ)だ。2023年4月時点のレートでわずか2000円足らずである。いくら経済格差があるとはいえ、この安すぎる罰金にはさすがに驚いてしまった。たとえるならば100Bsは5、6人が昼ご飯を満足に食べられる程度の感覚だ。ちなみに免許不携帯の罰金は20Bs。その場で免許保持者か確認できるならともかく、言い逃れできてしまえば無免許運転の罰則はわずかこれだけなのだ。さらに警察官には当人や車両を拘束する権利が認められていない。
以上の状況の大きな違いは、運転免許に対する考え方を根本的に変えてしまう。日本の場合、普通運転免許を取得しようとすれば最低でも5、6万は必要だ。自動車学校に通おうとすればさらに20~30万円は必要である。それでも最大50万円の罰金を払うことを考えれば、あえて無免許運転をするメリットは皆無だ。
一方、ボリビアで免許を取得する際のコストと労力は日本の比にならないくらい小さい。さまざまなケースがあるが、基本的に取得するための予算は600~2000Bs程度という。仮に取得まで総額1500Bsかかったとしても、これは一般的なサラリーマンの月収よりも低い金額だ。さらに学科試験は大概緩い。受験者全員が100点を採れてしまう時は珍しくないのだとか。
警察官に見つかって100Bsもしくは20Bsをその場で払うのか、2000Bs近くのコストと労力をかけてわざわざ免許を取得するのか。短絡的に考えれば、多くの人がどちらがお得と考えるのかは一目瞭然と言えるだろう。実際のところ、筆者の住むヤパカニでは道行く運転者のほとんどが無免許だと予想される。多くの若年層や貧困層にとって、無免許運転が一つの選択肢となっていると言ってしまっても過言ではない。
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