南米・ボリビア多民族国では10月下旬から11月上旬にかけて、政治的にやや不安定な状況が続いています。国全体でブロケオが発生しており、サンタクルス県ヤパカニ近辺においてもサンカルロスやブエナビスタといった近隣の町との行き来が非常に不便になっています。
先日筆者はヤパカニから隣町サンタフェに向かう際、ヤパカニ川で行われているブロケオを通過しました。日本人にとってはなじみのないブロケオですが、ボリビアではいわば名物と言えるような光景。実際にどんな様子だったのか簡単に記録しておきたいと思います。
普段の交通
ヤパカニとサンタフェは結びつきが非常に強い地域です。相互の交通量は非常に多く、「トゥルフィ(”Trufi”乗り合いタクシー)」が頻繁に発着しています。通常の運賃は3Bs(ボリビアーノ)で、日本円換算でだいたい45円~60円くらい。10分から15分もあればついてしまう程度の距離です。
たいてい日中でも数分または長くても20分程度でトゥルフィ1台が埋まり発車していきます。
橋を境に分断される交通
ヤパカニとサンタフェ間にはヤパカニ川にかかる橋があるのですが、ブロケオが起こる際には真っ先に封鎖されることで有名です。当然ながらクルマは通れませんし、バイクで通過したい個人はいわば通行料を渡して通してもらう場合もあるのだとか。場合によっては徒歩のみ、もしくは暴動の危険も伴うために実質通過不能というタイミングもあり得るようです。当然ながらボリビアの大動脈の1つであるにもかかわらず物資の移動は滞り、渋滞には多くのバナナや牛、野菜などを積んだトラックが含まれます。沿線地域で売ってお金に換えられるものであれば何とか手は打てるものの、できない場合はなんともったいない。
トゥルフィは「ブロケオ行き」に
普段はサンタフェに直通するトゥルフィも、当然橋は通過できません。行先は「ブロケオ行き」に変更されます。筆者が行った時の運賃は普段と同じく3Bs。橋を境に半分の区間と考えると、単純に倍の運賃を払うということになります。外国人だから高く払わされているという可能性は低いでしょう。
行き来が減っている分座席の埋まり方も普段よりゆっくりで、15分程度は待ち時間があったと思われます。いざ出発してしまえばブロケオまでは普段通りです。むしろ交通量の減っているヤパカニの道路はスムーズに流れていました。
ブロケオに到着してから、渋滞をややかき分けて進んだところで降ろされます。筆者が行ったタイミングでは橋の手前約200メートルくらいのところから歩きました。同乗者のチョリータさんや若い女性も慣れた足どりで先へと進みます。
ブロケオ本体は土で盛られた小山
ブロケオ周辺には待ちぼうけて手持無沙汰な人、通行人を待つバイクタクシーの集団、ブロケオを実際にやっている登板の人などがいます。政治的に緊張感のある運動ながら、何となく地域のお祭り気分さえ感じさせてしまうボリビアのお国柄がここでも感じられます。
ブロケオの本体付近にはテントが張られていました。この辺りだけは少しだけ空気感が異なり、やや緊張しました。10人~20人程度の集団が座っており、恐らく当番制で占拠していたのだと思われます。
道路の封鎖ポイントには、車両が通れないほどの量の土が盛られていました。徒歩の通行客はその上を乗り越えて向こう側へと渡ります。バイクで通過したい場合は、わずかに脇へと逸れて通っていくことになります。
交通費は倍以上に
ブロケオを通過したら20台ほどのバイクタクシーが控えていたので、適当に選んで乗っていきました。初乗り運賃は2Bs程度なのですが、広場まで若干距離があるためなのか外国人とみられたのか今回は5Bsでした。合計の片道運賃は8Bsということで、普段の倍以上となりました。
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