南米ボリビアに住み始めて5年になる筆者が、陸続きの隣国チリへ2週間の旅行に行ってきました。
前回まではチリ北部の都市イキケまでの様子についてまとめました。
今回は中部の首都であるサンティアゴでの数日間の滞在と、南部バルディビアに至る旅の様子についてまとめていきたいと思います。
サンティアゴ – たかが南米の都市と侮るなかれ
チリは南米大陸でもっとも洗練された都市といっても過言ではないでしょう。
2024年時点でのその特徴の一つは、IT化が非常に進んでいること。インターネットとキャッシュレス決済の普及は他の都市と比較して群を抜いていると感じます。
かなり遅ればせながら、サンティアゴでの数日間についてまとめます。
空港と都市の間で選べる交通機関
チリの首都サンティアゴのアルトゥーロ・メリノ・ベニテス国際空港に着いた私たちは、さっそく都心部への交通機関を探します。
サンティアゴという都市は都心部では地下鉄が張り巡らされているのに対し、重要な拠点である空港にはもう一歩届きません。特に大量輸送機関が必要な箇所に感じるのですが、そこはややかゆいところに手が届かないもどかしさがあります。
そんなわけで公共交通の選択肢となるのは、いくつかのカテゴリーに細分化されたバス、タクシーです。
最も安価に移動できるのはもちろんバス。Turbus という会社が代表格で、国際ターミナルと国内ターミナルの間、駐車場のあたりにバスターミナルがあり、そこで発着しています。
当然ながら公共性が最も高いため荷物の扱いに注意が必要なのと、細かい住所まではアクセスできない点がデメリットです。
乗り合いタクシー
荷物が大きくて重い場合や、ちょっと高くてもいいから目的地に快適にダイレクトにアクセスしたい場合は、乗り合いタクシーが良いでしょう。
8,000LPS(約1,000円と少し程度)と距離のわりに若干高く感じますが、宿の玄関前まで直接送ってくれるので費用対効果を考えれば安いともいえます。
車両は基本的にNV200バネットもしくはそのクラスのミニバンで、1台当たり6人程度が定員です。荷物もそれなりに積載可能で、もっとも大きいサイズのスーツケースも1つか2つ程度であれば問題ない印象です。
空港発であれば予約カウンターでチケットを購入するのが最もスムーズでしょう。
TransVip で都心部へ
実際空港の到着ターミナル外にはたくさんのタクシー会社のカウンターが並んでいます。
筆者夫婦が最終的に選んだのはTransVip。この業界では大手で、サンティアゴの街中でもとてもよく見かけました。
逆に街中から空港に向かう際にはネット上で予約することで、たとえ深夜であろうと指定の場所と時刻に迎えに来てくれます。
他の乗客もいますが室内空間はもちろんゆったり。乗り換えや徒歩のわずらわしさもなく快適に移動することができます。
サンティアゴの食
今回の旅は本来の目的地がサンティアゴではなかったため、サンティアゴでの予算はなるべく控えめでした。
とはいえ2024年現在ではサンティアゴの食費は日本円比較でかなり高騰しており、旅行の予算を組むうえでは大きなネックとなることは間違いありません。特に外食一辺倒で旅程を組むとすれば、予算のかなりを占めます。
たとえばこの都市で昼食もしくは夕食をとろうとすると、かなり安く抑えても5,000LPS(約800円)、大抵は10,000LPS(約1,600円)程度が目安となってきます。特別いいものではなくてもこの価格帯なので、結構重要な問題です。
またスーパーなどで食材を買って調理する場合も特別安上がりになるとは限らないでしょう。もちろんグループの人数が大きくなればなるほど割安になるのは間違いありませんが。
定番B級グルメはエンパナーダとコンプレート
サンティアゴで堪能できる食事は多岐にわたりますが、特に手ごろに味わえるB級グルメはEmpanada(エンパナーダ)です。
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エンパナーダはひき肉や玉子などといった具材を中に仕込んだ調理パンのようなもの。
その手軽さを日本でイメージするするなら、いわばコンビニでいつでも食べられる肉まん感覚といったところでしょう。実際町中のあらゆる商店で手に入れることができます。
予算は2,000PLS(約300円)程度と老若男女問わずアクセスしやすい庶民の味方で、重たい食事に飽きてしまったときはエンパナーダだけで意を休めることもできるでしょう。
味はたいてい数種類から選ぶことができます。特にメジャーなのはPino(「松の木」を指す)です。まずはお試しあれ。
ちなみにボリビアにも同名のエンパナーダがありますが、中身も外見もだいぶスタイルが異なります。ボリビアのは普通に具材を「包んだ」パンという雰囲気なのに対し、チリのは具材を「折ってとじた」感覚。中身の具材もしっかり込められておりサイズもやや大きく感じます。
もう一つはCompleto(コンプレート)。
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これはチリ版ホットドッグと言えるものですが、特徴としては長いサイズに存在感のあるアボカドソースが使われていることでしょう。
緑のアボカドソース、白いマヨネーズ、赤いトマトもしくはケチャップの色合いがまさにイタリア国旗を連想させることから、代表的なメニューにItaliano(イタリアーノ)が存在します。チリなのに。
最近ではメニューも店によってバリエーションが増えているようですが、価格は基本的に2,000~3,000PLSと、心強い庶民の味方です。
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地元の人にすすめられたおすすめの店は Dominó(ドミノ、最後の「ノ」にアクセント)。ドミノピザではないので混同注意です。空港にも店舗を構えるチェーン店です。
スカイコスタネラ
東京でいうところのスカイツリーに匹敵するランドマークがサンティアゴ市にもあります。
それが、コスタネラ・センターにある超高層展望台 Sky Costanera (スカイ・コスタネラ)。
このビル自体は高さ300メートルを誇る、南米大陸では最も高い建築物です。
アクセスは地下鉄1号線と4号線が交わる Tobalaba 駅で、観光するならまず筆頭に挙げられる場所です。
ぜひお試しあれ。
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サンティアゴの地下鉄事情
サンティアゴは南米の中でも特に地下鉄網が発達している都市としても有名です。
詳しいことは別の記事で深掘って扱えればと思いますが、まずは今回移動に使ってみて気づいたことについてまとめます。
全体的な印象はNY以上東京未満
海外経験のある日本人であれば、地下鉄の比較対象として筆頭に上がるのはニューヨークの地下鉄だと思います。治安の悪さで有名なニューヨーク地下鉄に比べればサンティアゴの地下鉄は遥かに安全清潔で、庶民にとってとても実用的な乗り物と言えます。
多くの学生や女性が使っているところを見ればその身近さは一目瞭然。駅構内も明るく、案内標識も日本ほどバカ親切ではないもののフルカラー電光掲示板などが導入されているなど華があります。しっかりとメジャーな交通機関としての役割を担っていることが分かります。
路線図を見るとほぼすべての路線はバケダノ(Baquedano)と呼ばれるサンティアゴの中心部もしくはその周辺に集まり、いくつかは突き抜けながら方向を変えて別の方へ抜けていく構造。中心部の各駅では多くの乗客が乗り換えのために通路を行き来するので、初見の人は最初にしっかりと路線図を確認しておかなければ迷ってもおかしくありません。
路線は番号と色で識別
動画はバケダノ駅の隣に位置する Parque Bustamante(ブスタマンテ公園) 駅の様子です。
駅名標をご覧の通り、この駅が属する第5号線は緑色が割り当てられています。このように各路線は番号と色がそれぞれ割り当てられているので、利用客は自分が今どの駅にいるのか判断しやすくなっています。
どうでしょう、割と清潔で明るい雰囲気ではないでしょうか。日本もそうですが、比較的最近開通した路線ほど清潔で明るいです。
車両はおそらくそれぞれの路線の開業に合わせて製造されたものだと思われますが、見ているといろんな車両が混ぜこぜで運用されている模様。さすがに車両だけではどの路線か区別するのは難しそうです。
サンティアゴ市南部のプエンテ・アルト地区を通る第4号線などは、地下鉄と名乗りながらも高架軌道を走ります。
約80km/h程度で駆け抜けながら閑静な住宅街を一望できます。
いよいよチリ南部の都市バルディビアへ
サンティアゴはまだ目的地ではなかったので、今回はそこまでサンティアゴ観光に力を入れませんでした。
旅はいよいよさらに南部へと進みます。次の記事ではチリ南部の都市バルディビアへ向けて約10時間のバスの旅の様子をまとめます。
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