言うまでもなく、地球の裏側同士の国である日本とボリビアではさまざまな物事が大きく異なります。
食文化の違いはそれらの一つで、食材に対する考え方や扱い方にはまさに地球を挟めるほどの隔たりが存在します。
以前、お肉屋さん及び外食に関して、僕の生活するボリビア中部の田舎町ヤパカニでのカルチャーショックについてご紹介しました。
牛や豚の頭部や丸鶏を買い物中に見かけることは日本ではあまりないかと思いますが、こちらでは日常生活で見られる何ら変わり映えのない風景に過ぎません。
一見グロテスクなそれらを目の当たりにすることも、私たちがどんなものを食べているのか現実を知る上ではとても勉強になる大切なことだと思います。
ボリビアでの買い物にご興味のある方はぜひそちらものぞいてみてくださいね。
ボリビアの玉子、日本の玉子
さて、今回の食材は鶏の卵、つまり玉子です。
僕は鶏の品種や卵に関してはそこまで詳しくはないのですが、日常生活を営んでいる限り玉子自体は日本のものと比べて著しい違いを感じません。
ただ、やはり地元の文化や知人と照らし合わせるに、卵という食材をどのように扱うかという点はだいぶ異なるかなと思います。
また、味や風味も日本ほど選別されたりブランド化されたりはしていないという印象です。
日本ではトレーにブランド名のラベルが貼られていることがほとんどかと思います。他にも卵かけご飯専用玉子があったりしますね。
買い物で
日本と同じく、卵はボリビアでの買い物でもっとも身近で手に入りやすい食材のひとつです。
ボリビアで卵がどのように販売されているのかについて、筆者の観察から少し解説したいと思います。
販売環境
まず、鶏卵がどこでどのような仕方で売られているのかということについて。
ヤパカニに限っていえば、食品を扱う商店であれば基本どこでも置いてるという印象です。
パスタや加工品を扱うお店ではもちろんのこと、肉屋でも卵を積み上げていたりします。
ただし卵を専門に扱うお店もあって、特にこだわりはないですが筆者はそこで購入することがほとんどです。
なぜなら、選べる卵の種類にバリエーションがあるからです。
バリエーションといっても品種を選べるわけではなく、その日仕入れたものの質によって微妙に値段が異なる程度ですが。
そして日本では卵をプラスチックのトレーに入れて流通させていることがほとんど。もしくは紙トレーでしょうか。
ボリビアでは専ら後者の紙トレーで流通させており、卵を販売する商店ではそれが地面から人の腰の高さほどまで積み上がっている光景が見られます。
そして暑いヤパカニでさえ、卵販売のために冷蔵庫を使用することはありません。常に常温です。
温度管理などと言う概念は当然ながらありません。買い物から帰ったら、即冷蔵庫へ直行です。
品質
あなたが売られている卵を観察しているとしたら、その品質には少し驚くと思います。
ぱっと見同じ見た目のもので統一されているように見えますが、日本ほどサイズや色で選別されているわけではありません。
日本のように白いものと褐色のものなどバリエーションがありますが、区別されず混ざっています。
そして全体的に汚いです。比較的綺麗なものも存在するものの、泥などで汚れていたり、羽が付着しているものも少なくありません。
もっと悪いことに、お店の選び方や買い物をするタイミングによっては、ほとんどが割れていることすらあります。
日本では当然、少しでもひびが入っていようものなら値引きもしくは廃棄ですね。
ですから、卵の買い物をする時には基本的に手が汚れるという気持ちの準備が必要です。
相場
さて、次は玉子の相場についてです。基本的に単位は1マプレ(玉子用紙トレー: 綴り不明)あたりの値段です。
1マプレには30個の玉子が載せられているので、自分の欲しい個数に応じて割ります。
ここでは日本の感覚に合わせて、10個の玉子を購入する場面であると仮定しましょう。
筆者の普段の感覚からすると、ヤパカニでは1マプレ当たり18Bs(ボリビアーノス)から20Bs程度を提示されることがほとんどです。
10Bs当たり160円程度なので、だいたい300円ほどで30個の玉子が買えるということになります。
ということで1個当たり10円ほど、10個の玉子が欲しい場合には100円ほどで買えるということですね。
日本ではスーパーでチラシが出た時に買えるような値段でしょうか。もちろん倍以上の値段がつく玉子も少なくありませんが。
しかしこうして品質と値段について考えてみると、日本がいかに質の高い玉子を効率的に低価格で供給しているか、そのすごさを感じることができますね。
ちなみに筆者は一人暮らしで一度に使う個数がそこまで多くないので、5Bs程度の金額指定で購入します。
一度に7,8個程度といったところですね。
お持ち帰り
玉子を持ち帰る時には、マプレごと購入する場合は上にもう一枚マプレを載せ、落下しないようにビニール紐などで縛ってくれます。
しかし少なめの個数買いをした場合はどうするかというと、ボリビアでは大変重宝される薄いポリ袋の出番です。
ポリ袋に玉子を入れて、はい、手渡しです。簡単ですね~(笑)。
扱い方次第では、買い物している間に割れてしまう可能性がとても高いので、普通以上の注意が必要です。
調理方法
次は、玉子をどのように消費するのかという点についてです。
基本、生はNGだが…
日本人は、食材を生で食べることがとても好きですね。魚や肉、そして玉子まで、調理法次第で生で食べる文化があります。
しかしながらボリビアではもちろん、玉子を生で食すことは「ほぼ」ありません。
日本の玉子はとても高いレベルで品質管理が行われていて、そのおかげで卵かけご飯なども可能です。
ボリビアで購入する玉子は前述の通りきれいではなく、基本的には加熱して食べるべき食材です。
割り方が悪ければ殻に付着しているであろうサルモネラ菌が混入し、食中毒の原因になってしまうでしょう。
ただし、興味深いことに例外もあります。
なんとミルクセーキのような飲み物、バティード(Batido)に生卵を入れる食文化が存在するのです。
日本でならともかく、ボリビアでこれを振る舞われた時は少しひいてしまいましたね。
ですが現地の友人が親切に提供してくれた手前断るのも悪かったため、その場で飲み干しましたが。
幸いその後体調を崩してしまうようなことにはならなかったので、ひと安心です。
日本で暮らしていた日本人がボリビアで普通に売られているそれらを飲むのは、胃腸の細菌バランスなどの違いから受け付けないことが多いのでお勧めしません。
日数の限られた旅行ではなおさらお気を付けください。
意外と卵料理のバリエーションは少ないかも
日本では、玉子はありとあらゆる場面で活躍しますよね。
スクランブルエッグ、ゆで卵やラーメンにのる煮卵、温泉卵に、最近ではポーチドエッグやエッグベネディクトなど様々なレシピが存在します。
この記事を執筆しながら、ボリビアではどんな卵料理があるかを少し思い返していたのですが、意外とあまり思い浮かばないんですね。
外食などでも玉子が使われている機会は少なくはないのですが、あまりバリエーションが多いとはいえない印象です。
基本的に目玉焼きのようにしてそのまま焼かれて、メインディッシュに添えられていることがほとんどです。
もしこの記事をご覧の方で、ボリビアもしくは南米でバリエーション豊かな卵の調理法の存在をご存知でしたら、コメントして頂けると嬉しく思います。
またこの記事ではラパスの市場および田舎町ヤパカニの市場での光景について主に扱ったので、
サンタクルスでの大型スーパーなどでの買い物の様子をご存知の方もおられたら、同様にお願いしたいと思います。
ちなみに、美味しい目玉焼きを焼くには鉄フライパンがお勧めです。友人のブログでも使用感がレビューされているのでご参考にどうぞ。
玉子の長期保存にはひと工夫を
いかがだったでしょうか。玉子という食材ひとつとってみても、世界の違いを感じられますね。
改めてまとめてみますと、以下の通りです。
- 品種やブランドなどは実質存在していない
- 基本汚い
- 販売時の温度管理はほぼされていない
- 相場は日本でいうところのチラシの安売りレベル
- 食文化としての調理方法はあまり発達していない印象
なお筆者は最近、ボリビアで踏んだり蹴ったりな目に遭った武勇伝をもつ友人のアイデアで、卵の保存方法のひとつ、塩漬け卵を作りました。
近日その様子も公開したいと思います。
それでは次の記事で!
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