【スペイン語の多様性】Yesca – 各地域における意味の違いに注意
筆者だけではないと思うのですが、スペイン語を勉強すればするほど興味深いのはその多様性です。
どういうことかというと、ひとつの何でもない無害な言葉が、別の国で使ってしまうと人を傷つけたり怒らせたりするとんでもない意味の言葉に様変わりしてしまうのです。
恐ろしい…。
こういう著しい意味の変化って、日本の方言ではまずありえないことですよね。
今回はそんな言葉のひとつ、”Yesca(ジェスカ)“について解説してみたいと思います。
コンテンツ
本来の意味とは
スペイン語を日本語に訳す際には、ある一つの発想を基に連想ゲームのように様々な意味を含む場合が少なくありません。
“yesca”に関しても、調べるごとにいろんな訳語がヒットします。
辞書によると
“Yesca”とスマホの辞書で調べると、このように説明されます。
1. 火口(ほくち); [複数で] 火口箱
2. 感情をかき立てるもの、刺激
3. [話] (ワインが飲みたくなるような)喉の渇きを覚えさせる食べ物
4. [ラ米]
(1) [エクアドル][プエルトリコ] (乾いた)ヤシの樹皮
(2) [アルゼンチン][話] 火打石
(3) [エクアドル][話] 借金、負債
(4) [米国][俗] マリファナ; マリファナ中毒者
dar yesca a + 人
(1) <人>に要求する
(2) <人>を酷評する
物書堂 西和・和西辞典
ということで、米国で俗語として使われる「マリファナ」あたりが結構怪しい部分ということが分かります。
恐らくアメリカ南西部やテキサス、ニューヨークなどでこの言葉を口にするのは控えた方がよいのかもしれません。
エクアドルでは「借金」や「負債」という意味も伝えているということが分かります。
ちなみにこれとは別に「借金」と辞書で調べると、”deuda“や”préstamo“という単語が本来使われる語であることも把握できます。
また、エクアドルでなくてもこの意味を伝えている可能性があります。
辞書に出てくる表記区分は、実際にスペイン語圏で生活していると、きっちり正確には区別されていないことがよくわかります。
スペイン語の世界では正確性に欠ける情報も少なくないですし一応、地域区分は参考程度にとどめておくのが良いでしょう。
結局大事なのは、その地域の人がどう感じるかということに尽きます。
Google検索によると
次にGoogleで”Yesca”の意味を検索してみると、結果は以下の通り。
1. 自然であれ調合されたものであれ、乾燥しやすく燃えやすい物質
2. 情熱や混乱、攪乱を引き起こすもの、人
Oxford Languages
可燃性のものとか、何かしら燃やしたりその影響を周囲に伝播させるような作用をもつイメージを伝えていますね。
伝えるイメージ
これらの意味を全体的に見てみると、以下のようなイメージを伝えていることが分かります。
- 燃えやすいもの
- 乾きもの(おつまみ)
- 火花を散らすもの
- 燃えて、その結果消えてなくなるもの
これらはざっと筆者が感じとったものにすぎません。
全体的に火や乾燥を連想させます。
最後のものは特に、大麻中毒者が火で薬をあぶっている様子、もしくは浪費によってお金が燃えて飛んでいってしまう様子をイメージさせることから、麻薬や借金、貧乏などの意味に繋がるのかもしれません。
スペイン語の単語ひとつとっても、こういう連想ゲーム的な楽しさがやめられないですよねー。
これこそまさに言語的yescaですね。
地域別の意味
ボリビアでは
筆者の住むボリビアでは、”Yesca”は「貧乏」を表します。
とあるサイトによると、「一文無しで通りを歩く人」と説明されていました。
友達からそう教えられ、「あ、じゃあ僕ずっと”yesca”やわ」と言ったら大爆笑していました。
他の友達にも使ったところ、自虐ネタとしてはわりと通じる感触。
少なくともボリビアでは使い方次第で人を貶めるものの、基本的には無害な言葉に分類されるかと思います。
ラパス方面では「ジェスカ」とカタカナ言葉で、筆者のいるサンタクルス方面では「ジェッカ」もしくは「ジェフカ」といった感じの発音で相手に通じます。
地域によって、母音のない”s”は曖昧な発音になりますからね。
メキシコでは
米国で”yesca”は「大麻、マリファナ」を指すということを前述しましたが、メキシコでもそのように呼ぶとのことです。
この辺りの地域でも、うかつに口にするのは控えた方がよいかもしれません。
ドミニカ共和国では
スペイン語話者のカナダ人の友人によると、ドミニカ共和国ではこれまた著しく悪い意味が加わるとのことです。
本当に嫌悪感を抱かせるため、この国の人には絶対に口にしてはいけないよと。
スペイン語の世界ではよくあることです。
まとめると…
基本的にエクアドルやボリビアなど南米圏では、「貧乏人」もしくは「借金」などお金に関わる言葉として比較的無害な使い方が可能な言葉です。
それに対してもっと北のメキシコや米国では、大麻やマリファナもしくはその中毒者を指して用いられる言葉で、ギャングなどの使うであろうスラングの一つとなっているようです。
若干物騒な意味を含んでいるため、使う際には注意が必要です。
ドミニカ共和国では、相手にかなりの不快感を与える可能性があるため基本的には口に出して使用しない方が良いでしょう。
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