カテゴリ: 鉄道
April 26,2021 at 6:00 PM

【鉄道のすゝめ】電車はどうやって走る?鉄道車両の動力源あれこれ

鉄道の動力源
鉄道の動力源

日本人は鉄道という交通機関のことを「電車」といいますが、読んで字のごとくこの単語はあくまで電気で走る車両を表すものです。

たしかに都市部をはじめ日本の多くの場所では、レールの上を走行する交通機関は電気を動力源としています。

発車する時には「ウィーン…」という音を立てるのを聞いたことがあると思います。

ただ鉄道好きからしてみると、いつも鉄道のことを「電車」と言っている人を見るとなんだか切ない気持ちになるんですね。

なぜなら鉄道車両の動力は電気だけではないからです。むしろ世界的には電気じゃない方が主流です。

めんどくさい人とは思われたくないものの、やはり安易に「電車」という言葉を使ってる人を見ると、「いやいや、鉄道やで」と訂正したくなってしまう。

かたや動力源に関しては自動車も同じことがいえますよね。

ここ20年の間にも、「クルマはガソリンか軽油で走るもの」という常識は変わってきています。

ハイブリッド、次いでレンジエクステンダー機構を含む電気自動車は今やすっかり珍しくなくなりました。

国や地域によっては、化石燃料で走る自動車の消滅に向けカウントダウンを始めているところもあるくらいです。

というわけで今回は、鉄道好きがハマる分野シリーズとして鉄道車両の動力源について浅く広くご紹介していきたいと思います。

分けるとすれば3つ

鉄道車両が何で動いているかは主に下記の3つに分けられます。

  • 外燃機関
  • 内燃機関
  • 電気

専門用語ではありますが、その中身はきっと誰でも見聞きしたことがあると思います。

一応ですが、筆者はただの鉄道好きであってこの分野の専門家ではありません

ですが、いわば非鉄道好きの方が鉄道好きのお友達に対して使える会話のきっかけにでもして頂ければと思い執筆しています。

外燃機関

蒸気機関車

公共交通機関としての鉄道が発明されて以来、最初から現代に至るまで使用されている動力源が、外燃機関と呼ばれるものです。

初めて聞く方もおられるかも知れませんが、いわゆる蒸気機関として知られています。

よく「SL」とも呼んだりしますね。これは単純に”Steam Locomotive“の和訳の略で、意味はほとんど変わりません。

外燃機関の定義は、空気中の酸素をたっぷり使って燃料を燃やし、その熱でお湯を沸かして蒸気圧の力で動力を得る機関のこと。

いわばエンジンに当たる部分は外気と遮断されていません

代表的な燃料は石炭で、機関士たちは炭水車に積んでいる石炭をスコップを使ってボイラーへと放り込む肉体的な動作を必要とします。

石炭の扱い方次第でスピードやパワーなどにかなり差が出るようで、ある意味で乗り手を選ぶ乗り物だったようです。

極端な話、乗務する機関士によって牽引することのできる客車の数も違っていたのだとか。

動力集中方式専用

外燃機関

外燃機関を使う鉄道は、先頭もしくは最後尾の蒸気機関車が動力をもたない車両を引いたり押したりして走ります。

お客は専用の客車に乗り込みます。せっかく旅を楽しみたいのに熱くてうるさい機関車に乗りたい人はいませんよね。

そもそも機関車一両にお客を乗せるためのスペースの余裕がありません。

このように動力源をもつ少数の車両が動力源のない多数の車両を引き連れて運転するのを、動力集中方式といいます。

ちなみに後述する動力分散方式とどちらを採用するかという選択は、鉄道の運行システムそのものにかなり重大な影響を及ぼす分野といえるでしょう。

内燃機関

スーパーはくと

京都と鳥取・倉吉を結ぶ特急「スーパーはくと」は、最高速130km/hと電車並みの加速力を特徴とするHOT70000系車両を使用しています。

続いて内燃機関です。外気を遮断した釜の中で燃料を燃やし、その爆発力を動力に変換することで走行します。

イメージしやすい身近な例は自動車のエンジンで、液体燃料を使います。

電気で動く鉄道車両を電車と呼ぶのに対し、内燃機関で動く車両は気動車と呼ばれます。

でも不思議なことに、「今日は気動車で出かけるわ~」なんてこと言う人は…まぁ滅多にいないんじゃないでしょうか(笑)。

人力で燃料を扱っていた外燃機関に対し、機械制御もしくは電子制御で燃料を内部に噴射する内燃機関は、誰が運転しても性能に差が生じません

石炭と水を蓄えておくための炭水車も必要なくなり、編成の中に占める動力のためのスペースがとても小さく扱いやすいのも特徴です。

外燃機関と比較してエネルギー効率も非常に良く、CO2を出す割にはハイパワーです。

主に重油を燃料とするディーゼルエンジンが導入されていることが多く、世界中の鉄道車両ではメジャーな動力源でしょう。

以前は鈍い轟音さながら鈍足なイメージでしたが、最近では電車に匹敵する加速性能をもつハイトルク・ハイパワーなディーゼル車も導入例がふえてきています。

また、かつては自動車で主流であるガソリンの鉄道車両も開発されていました。

しかし大きくて重たい鉄道車両との相性がよろしくなかったことと、揮発性の高さ故に事故に遭った時に危険であることから、現在は少なくとも日本では運用されていません。

動力集中・分散どちらにも対応

内燃機関

内燃機関は動力機構がそれほど大きくありません。

そのため丸ごと一両動力専用車つまり機関車にするもよし、各車両に動力機構を組み込むもよしの万能動力源です。

なので、高速性能よりも快適性を求める列車なら静かな客室を繋ぐことができ、一方特急列車などにはそれぞれ床下に動力機構を積んで編成全体を高速化することができます。

あらゆる路線で、あらゆるタイプの車両で使うことのできる内燃機関は、相対的に最もバランスの良い動力源であるといえるでしょう。

電気

ようやくここからが、「でんしゃ」と呼ばれる乗り物ですね。文字通り電気で電動機(モーター)を回して走行します。

蓄電池車など例外も存在するのですが、基本的にレールと並行して設置された電線から集電器(パンタグラフなど)を使って電気を受けとりながら走行します。

そのため、積み込んだエネルギーを消化しながら走る外燃機関や内燃機関に比べて地上の設備に莫大な投資が必要です。

このように電車が走るための設備を路線に設置することを電化といいます。

電化とその設備の維持には多額の費用がかかるためこの選択は鉄道会社にとって非常に重大で、路線の需要に見合った判断が求められます。

日本は実際にそれだけの需要があったので、鉄道が電車と自然に呼ばれるほどに電化された路線の割合が高いのですが、世界に目を向けると日本の鉄道の旅客輸送は異常といえます。

一度に1,323人を運ぶ東京と大阪の間を行き来する列車が、およそ3分に一本発車しているなんて考えてみたらたしかにクレイジーですよね。

コロナ禍の影響で変動はあるものの、東海道新幹線の需要は本来そのようなものです。

こんな高密度な輸送を必要とする路線は世界を見渡してみるとそこまで多くはないので、世界規模では電車はそこまで普及していません。

電車の数々のメリット

JR西日本227系電車

しかしながら電車のメリットはたくさんあります。たとえば快適性スピードを挙げることができるでしょう。

以前は動力をもたない静かな客車に比べて、爆音を出すモーターのついた車両に人を乗せることは良くないとされていました。

急行や特急などはむしろ機関車で客車を牽引した方がいいとされていたんですね。電車が圧倒的に速い現在の状況とは対照的です。

でも、現在では電車はディーゼルカーなどと比べてとても静かで快適、すすや煙をまき散らすこともなくクリーンです。

さらに駅と駅の距離が短い日本では特に、鉄道車両に加速力が求められてきた背景があります。

電車はまさにこの需要にしっかり当てはまっていて、現状と同じ水準で発車と停車をきびきびとこなしていくのは他の動力源では不可能でしょう。

長距離を走る最高速300km/hの新幹線でさえ、現役の車両は恐ろしい加速性能を誇ります。

まさに特大ホームランを打つパワーをもちながら走塁技術も超一流の、オオタニサン(大谷翔平選手)のようですね。

ちなみに加速力の日本一良い鉄道車両は阪神電車の普通列車に使われる車両で、通称「ジェットカー」と呼ばれています。

動力分散方式の恩恵

電気機関

専門用語としての電車の定義は、動力分散方式であることを含みます。

どういうことかというと、たとえば4両編成の車両があったとして、そのうち2両にモーターを積み他の2両は引っ張られるだけという感じです。

動力集中方式では機関車1両が動力を担っていたところを、電車は2両で分担しながら走っていくことができるんですね。

おまけに、人が乗れない機関車を必要としません。1両分お得ですね。

このことは日本の鉄道にかなり大きな恩恵をもたらしてきました。

まず折り返し運転をするために機関車の付け替えをする必要がなくなったんですね。

それまでは、列車が終点に着く度に機関車を切り離して、別の線路から迂回させて反対側の先頭に付け替えてやる必要がありました。

機関車の向きもそろえてやる必要があったりで、鉄道博物館では現在もその時の名残である転車台などの設備を見ることができます。

当然これらの作業には時間もかかる上に、何よりたくさんの設備を設置するための土地が必要です。

山が多く土地の少ない日本では、これらの用地を節約するのに電車が大きく貢献しました。

現在の東京や大阪から無駄にだだっ広い線路設備が消えていっているのは、電車の普及無くしては見れない光景でした。

他にも、動力分散方式は故障に強いというメリットがあります。

動力集中方式は運行中に機関車1両が故障してしまった場合、運転を打ち切りざるを得なくなってしまいます。

しかし電車であれば他の動力車が生きているので、運行をひとまず継続することができます。

鉄道が当たり前のように決められた時刻に発着しているのは、このような電車のトラブルへの強さが大きく関係しているというわけです。

まとめ

500新幹線床下

いかがだったでしょうか。簡単にそれぞれのメリット・デメリットを表にまとめてみましょう。

動力方式メリットデメリット
外燃機関構造が簡単(鉄道初期の技術)
線路があればほぼどこでも走れる
エネルギー効率が悪い
性能にムラがある
すすや煙が出る
折り返し運転が面倒
内燃機関線路があればほぼどこでも走れる
扱いやすい燃料
性能にムラがない
ハイトルク・ハイパワー性能も可能
保守管理が電車よりは複雑
電気性能にムラがない
高い快適性
加速力・最高速共に優れている
トラブルに強い
折り返し運転が非常にスムーズ
非電化路線は走行不可能
地上設備に多額のコストが必要
車両コストは高い場合が多い

こうして見てみると、前者2つは快適性や運用のしやすさに関する問題が、電車に関しては需要に見合ったコストに関する問題がデメリットであることが分かりますね。

以上、鉄道に使用されるそれぞれの動力源についてでした。

それではまた次の記事で!

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